月刊・デンタルニュース

(平成26年8月号)

今月は『歯垢』についてご紹介します。
70~74歳の年齢層の高齢者では、昭和62年と平成23年の歯科疾患実態調査の結果を比較すると、この25年間で残存歯数が平均で約9本も増加しています。しかし、歯が多く残っている高齢者が増加したため、歯周病の罹患率が増加しています。お口の中の細菌は、お口の中のトラブル(歯周疾患、むし歯、口臭等)だけでなく、全身疾患(誤嚥性肺炎、糖尿病、心内膜炎等)の要因のひとつであることが明らかになっています。細菌は主に歯と歯の間や、歯と歯ぐきの隙間を棲家としています。これらの病気を予防、又は病状の進行をくい止めるには、お口の中の細菌を減らすことが大切です。

1.数億個の細菌の塊

歯垢とは、歯に付着する細菌とその細菌から排出される物質の塊で、たった1㎎の塊に、むし歯菌や歯周病等、 数百種類の細菌が数億個も含まれています。

2.発端はむし歯菌!徐々に除去困難に ‼

歯垢はむし歯が中心的な役割をして、次のように形成されます。
①むし歯菌が歯の表面に付着します。まだこの段階ではうがいで簡単に表面からはがれます。
②むし歯菌は食べ物に含まれる糖質から粘着物質を取り出し、そこへいろいろな種類の細菌がどんどんくっついて、黄白色の歯垢ができあがります。歯垢は粘着力が強く、うがいでは取り除けませんが歯ブラシなら除去できます。
③しばらくすると、歯垢の中の細菌はバイオフィルムという防御壁を作り、免疫細胞や洗口薬などから身を守ります。この頃になると歯ブラシでの除去は困難になります。要介護高齢者の歯垢中の細菌を調べてみると、カンシダ菌が38%、次いで肺炎を引き起こすエンテロバクターが16%、肺炎桿菌が9%、その他の菌が37%でした。要介護者が肺炎になりやすい口腔状態であることがわかります。

3.歯垢をしっかり落とす3つのポイント

歯垢は2日位で唾液中のカルシウムを取り込んで固い歯石になります。歯石は歯ブラシで取はり除くことができないので、ネバネバした歯石のうちに歯磨きで除去することが第1のポイント。歯磨きは食べカスを取り除くというイメージがあるかも知れませんが、歯垢を取り除くことが目的です。また歯垢を100%除去することは難しいのですが、80~90%除去することを目標に、磨き残しをなくすことが第2のポイント。 簡単な方法は歯垢染色剤という着色料で歯垢を赤く染めて、磨き残してしまう歯垢の場所(=清掃できていない場所)を知ることです。歯ブラシだけでなく、歯と歯の間はフロスを使うことで歯垢を1.5倍も除去できます。ご自身の口腔状態に合わせて、何種類かの清掃用具を使うことが第3のポイントです。

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