(平成27年7月号)

今月は『歯ぐきの腫れ・痛み』についての情報をお届けしたいと思います。
歯ぐきは口腔粘膜の一部で、歯肉(しにく)とも呼びます。歯ぐきには、
①歯がぐらぐらと動かないように補強する。
②噛む時の力を吸収して組織を守る。
③細菌やその毒素が体内に侵入するのを防ぐ。
といった大切な役割を担っています。健康な歯ぐきはきれいなピンク色で引き締まっていますが、腫れや痛み等がある 場合は、歯ぐきに病気があることが疑われます。歯ぐきの腫れや痛みは、体調が悪い時に出やすく、免疫力の低下した 要介護者では特によく見られる症状です。自然に症状が落ち着くこともありますが、体力が落ちるたびに再び強く症状が 出てきますから、早めに歯科医院を受診しましょう。

1.歯ぐきの症状、多くの場合原因は…

歯ぐきには腫れ、痛み、血や膿が出る、できものができる、色の変色、痩せて下がった等、様々なトラブルが 生じます。中でも腫れと痛みは特によくある症状です。原因は被せ物が合っていない、歯の根っこの先端にひびや 破折等の異常があること等が考えられますが、最も可能性が高いのは、歯周病です。

2.生態防衛VS細菌 歯ぐきで攻防!

口の中は、水分、温度、栄養(食べかす)のすべてが揃っているので、細菌が繁殖するには絶好の環境です。 一方、歯ぐきには生態防御機能が備わっています。歯と歯ぐきは、ぴったりくっ付いている状態が正常ですが、 歯肉溝(しにくこう)という部分からは、免疫細胞を含んだ少しの血液成分がにじみ出て、細菌やその毒素が 体内に侵入するのを防いでいるのです。ところがちゃんと歯磨きができていない上に免疫力が低下すると、 細胞は膨大な数に増えて歯肉溝で防ぎきれず、炎症が起こるのです。細菌の塊である歯垢や歯石が歯と歯ぐきのすき間 である歯周ポケット内に付着していると炎症が続くことになり、歯周病が進行してしまうのです。

3.腫れと痛みを改善するには‼

歯周病を防ぐには、歯周ポケットの中の汚れを取り除いて、きれいに保つことです。すでに歯ぐきに炎症が生じている場合は、 歯ブラシで歯ぐきを傷つけないようにやさしく磨きます。きれいにしようと強く磨くと歯ぐきは傷ついてしまいますので 注意が必要です。しかし自身による歯磨きでは、歯周ポケットの中の歯垢や歯石を完全に取り除くことはできません。 歯科衛生士による専用器具を用いたクリーニングが必要となります。歯を支えている骨を溶かす歯周病菌が毒素を出して 悪さを始めるのは、感染から3~4ケ月経過してからと言われています。ですから自分で行う毎日の歯磨き(セルフケア)に 加えて、3~4ケ月ごとに歯科医院で専門的なクリーニング(プロフェッショナルケア)を受けることで、健康な歯と歯ぐきを保つことができます。

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