月刊・デンタルニュース

(平成28年4月号)

内閣府等が高齢者を対象に行った調査では「介護が必要となった時は自宅で療養したい」という回答が6割を超えていることを 踏まえて、“できる限り住み慣れた地域で安心して自分らしい生活を実現できる社会”を目指しています。今回の診療報酬改定 も在宅医療を推進する内容となっています。具体的には、自宅で療養しながら、必要な時に介護・医療を受けられる体制作りの 強化です。さて今月は『在宅末期の口腔ケア』についてお届けしたいと思います。施設や病院で療養している終末期の方に対しては、 ほぼ全員に口腔ケアが実施されています。在宅でも適切な口腔ケアによって、在宅療養の意味をさらに高めることが可能となります。

適切な口腔ケアを続けることが大切

在宅で療養している終末期の方の場合、痰の増加等をきっかけに口腔が意識されることも多く、主に訪問看護を受ける際に口腔ケア が行われていると思います。在宅で療養する30名の終末期の方に対する調査では、下記のような口腔状態でした。

終末期の方の身体は不安定な状態にあることから、歯科の専門知識がない家族にとっては、口腔ケアまで手が回らないのが実情です。 しかし終末期でも変化を期待できる数少ない器官の一つが口腔です。口腔ケアを適切に続けることで、在宅療養の意味をさらに 高めることが可能になります。それには歯科専門職が介護者の負担軽減に配慮しながら、患者さんの状態に合った口腔ケアの 方法をアドバイスすることが重要になります。

歯科が終末期に介在する意義

口腔ケアの目的は、口腔内の細菌を減らして肺炎を予防することで予後を延ばすことや、口腔機能を改善 して食べたり話せるようにすることです。しかし終末期の口腔ケアは、それだけではなく、その人らしい最後を迎えられる ように支援することが重要です。 口腔ケアで病状の進行を止めることはできませんが、適切な口腔ケアを継続できれば、健康な生活を送っていた頃のように 快適な口腔状態(爽快感)が最後まで保てます。口腔乾燥に上手く対処すれば家族との会話も可能になることがあります。 また味や匂いの記憶は、それを食べた時の状況とともに記憶されると言われています。住み慣れた家で、思い出の手料理を口に して、家族との思い出がよみがえれば、在宅で療養する意味がさらに高まるのではないでしょうか。

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