月刊・デンタルニュース

(平成28年6月号)

今月は、『噛むことによって得られる効用①』をご紹介したいと思います。 現代の食事は昔と比べてとても柔らかいため、健康な人であっても噛む回数が少ないことがわかっています。 例えば弥生時代の食事は、強飯(蒸した米のこと)や猪の肉、木の実等が中心で、とても硬い物ばかりでした。 女王の卑弥呼が食べていたとされる食事も、現代の食事より6倍の噛む回数と時間がかかるそうです。よく噛む ことは、食べ物を体内に取り込むだけでなく、全身を活性化させるのにとても重要な働きをしています。噛むことの 効用については、学校食事研究会が、『卑弥呼の歯が良いぜ』という覚えやすい標語を作っていますので、ご紹介したい と思います。

『ひ』肥満の防止・・・

早食いは、満腹感を得る前に、食べ過ぎてしまい、習慣化すると肥満になります。よく噛んで食べることで、脳にある 満腹中枢が働き、過食を防ぐことができます。

『み』味覚の発達・・・

例えば、ご飯を何回も噛んでいると、唾液で消化が進み、次第に甘さを感じるようになります。よく噛むことは食べ物本来の 味がわかるようになり、味覚の発達につながります。

『こ』言葉の発音がはっきり・・・

よく噛むことによって、顎が発達して咬み合わせが良くなり、さらに、口の周りの筋肉や舌をよく動かすため、言葉を はっきり正しく発音できるようになります。

『の』脳の発達・・・

顎を動かすことによって、脳への血流量が増加することが確認されています。また食べ物が口に入ると舌や口の中が 刺激を受け、それが脳へ伝わります。ラットに対する迷路実験では、噛む回数の多いほうが学習効果が高かったという 結果があります。

『は』歯の病気予防・・・

よく噛むと、唾液がたくさん出るので、食べかすを洗い流して、口の中をきれいにしてくれます。また唾液の中のカルシウム やリン酸が、むし歯になりかかった歯の表面を修復して元に戻してくれます。そのため、歯を失う2代原因であるむし歯や 歯周病の予防につながります。

『が』がんの予防・・・

唾液中に含まれる酵素(ペルオキシダーゼ)には、がん発生の引金となる体内の過剰な活性酸素を除去する効果があります。

『い』胃腸快調・・・

よく噛むことで、小さくなった食べ物は唾液と混ざり、胃や腸で消化吸収しやすい状態となっているため、胃腸への負担が 軽く、調子が良くなるというわけです。

『ぜ』全力投球・・・

運動や重いものを持ち上げる等、瞬発力が必要な時は、ぐっと歯を食いしばることで、力を発揮(全力投球)できます。 いくつかの研究で、歯の咬み合う面積が大きいほど運動能力が高いという結果がでています。

次号では、噛むことが運動能力に与える影響について、詳しくご紹介したいと思います。

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