(平成29年1月号)

先月号では粘膜ケアの必要性についてご紹介しました。口腔の粘膜は、乾燥していると傷つきやすく、 感染や口内炎のきっかけとなる恐れがありますので、歯以上にやさしくケアすることがポイントです。 無理せず、少しずつケアに慣れてもらうことが大切です。 粘膜ケアをする時は、スポンジブラシという専用の器具を使うと、やさしくケアすることが出来ます。 介護施設では既に使用されている器具ですが、介護に不慣れなご家族でも比較的安全に口腔ケアを行えます。 ただし、スポンジブラシにも、いくつか注意していただきたい点があります。 そこで今月は『スポンジブラシの使い方』についての情報をお届けしたいと思います。

汚れをからめ取るスポンジブラシ

スポンジブラシとは、先端がスポンジでできている棒状のブラシで、口腔内の粘膜を清拭するための器具です。 食物残渣や汚れ効率良くからめ取れるように、先端のスポンジは星型等様々な形状に工夫されています。中には 棒状ではなく、指にそのままスポンジをはめて使用するタイプのものもあります。

スポンジブラシの基本について

まずは水又は洗口液に浸して、水分がたれ落ちない程度に絞ります。スポンジは奥から手前へと動かすのが原則。 スポンジの水分が多かったり、汚れを奥へ押しやるような動かし方は、誤嚥性肺炎の原因となりますので気を付けな くてはなりません。またスポンジの汚れをこまめに水洗いしながら行います。コップは水洗い用と湿らせ用を別々に 用意すれば、より衛生的です。スポンジブラシはウイルスや細菌による感染症予防のため、1回ごとの使い捨てです。 あとスポンジブラシでは歯垢を除去できないので、歯がある部分は歯ブラシを使ってよく磨いてください。

清掃手順とポイント

粘膜の汚れは目に見えないものの方が多く、特に入れ歯を使っている場合は、上あご、歯ぐき、頬の入れ歯が直接 当たっている部分に汚れや細菌が繁殖しがちです。スポンジブラシの動かす順番を決めておくと、拭き取り残しが なく、同じ場所を何度も拭き取るようなこともなく効率的です。

最初は、上の歯ぐきの外側(①②)と内側(③④)を清掃します。口を大きく開け過ぎると頬と歯ぐきの間に スポンジブラシが入りませんので、口は軽く開けてもらいます。唇の裏側には小帯(V印)という細い筋があり、 そこにスポンジブラシが引っかかると痛いので、要注意です。くるくると回しながら汚れを拭き取る感覚で動かします。 上あご(⑤)は、少し強めに清掃しても大丈夫です。次に下の歯ぐきのまわり(⑥⑦⑧⑨)を清掃します。 ここにも小帯がありますので注意してください。 また上あご(⑤)と舌(⑩)は、あまり奥の方を刺激すると嘔吐反射が起こってしまうので、気を付けましょう。



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