(平成29年3月号)

長年使い慣れた入れ歯はメガネのように自分の体の一部となり、手放せない大切なものとなります。それだけに、入れ歯のお手入れは正しく行って、長く使いたいものです。入れ歯はレジンという吸水性のプラスチックでできていますが、自分の歯や口の中と同じように、歯垢や色素が付着します。入れ歯をきれいに清掃しないと、カビや細菌も繁殖して、口臭や歯周病、粘膜疾患(口内炎等)の原因となります。特に、入れ歯を乾燥させてしまうと細菌は落ちにくくなり、次第に増加して口臭が強くなります。その他にも知っておいていただきたい点がいくつかあります。そこで今月は『入れ歯専用ブラシと入れ歯洗浄剤』についてご紹介したいと思います。

汚れは2種類だから清掃も2種類!!

入れ歯のお手入れは、ブラシと洗浄剤を併用します。食べかすと歯垢は、ブラシで磨いて落とします。そしてブラシでは落とせない色素、細菌、カビ等の汚れを入れ歯洗浄剤を使って洗い落とします。機械的清掃と化学的清掃の両者を併用することで、初めて高い清掃効果が得られます。

入れ歯専用ブラシ

入れ歯は普段使っている歯ブラシで磨くこともできますが、入れ歯専用ブラシの使用をおすすめします。多くの入れ歯専用歯ブラシは、2ヶ所に植毛されています。大きい植毛部分は、毛が普通の固さで、義歯床や歯全体等、広い範囲を効率的に磨けるように作られています。小さい植毛部分は毛が少し固く、クラスプ(留め具)や端の部分など、磨きにくい複雑な形の部分を清掃するのに適した形状に作られています。柄も太く持ちやすいように工夫されているので、普通の歯ブラシより早くきれいに磨けます。

入れ歯洗浄剤!

多くの入れ歯洗浄剤では、2種類の主成分を配合しています。1つは、ブラシでは落とせない細菌、カビ、色素に効果のある漂白成分です。入れ歯の表面にある微小な穴や溝に繁殖する細菌やカビ、茶渋等もきれいに洗浄できます。もう1つは、ブラシで磨き残してしまった食べかすを分解する酵素です。この2つの成分によって、口臭、粘膜疾患、歯周病をしっかり予防できるようになります。また入れ歯洗浄剤は、入れ歯専用ブラシできれいに清掃してから、できるだけ毎日、就寝時に一晩浸けてください。入れ歯洗浄剤は、粘膜炎症の原因となることがあるので、入れ歯を装着する前にブラシを使ってよく水洗いして下さい。

入れ歯清掃の注意点


・入れ歯は毎食後、取り外してブラシで清掃する
・変形を防ぐため60℃以上のお湯は使わない
・研磨剤配合の歯磨き粉は、傷が付くので使用しない
・歯石は落とせないので歯科医院で清掃してもらう
・入れ歯の材質によっては、変形・変色してしまう洗浄剤があるので、事前に歯科医院で相談する

入れ歯は6ヶ月毎、歯科医院でチェックを受けて下さい。



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