(平成29年8月号)

今月は『口腔機能を向上させる訓練方法②』をお届けします。私達は、食べ物を口に運び、一口分を前歯で噛み、舌で片側のほっぺたへ運び、犬歯や小臼歯で噛み潰します。食べ物から旨味が流れ出て唾液が泉のように溢れてきます。そして味と香りを楽しみながら、、左右の奥歯でさらに磨り潰し、喉の奥へと食べ物を運びます。この「噛む」「味わう」「飲み込む」の3つの動作が、口腔機能の中の”食べる”という機能です。歯が部分的に無くなっただけでも、飲み込みまでの一連の動きができなくなったり食べ物の味も香りもたのしめなくなってしまいます。前回は「飲み込み」の訓練と嚥下体操をご紹介しましたが、今月は「噛む」と「味わう」という機能を向上させる訓練をご紹介します。

食前の準備、口腔周囲筋マッサージ!

脳梗塞の麻痺側には、筋肉の硬直がかなりみられます。また歯を失って柔らかいものばかり食べるようになると、お口の周囲の筋肉は動きにくくなってきます。食事の前に口腔周囲筋のストレッチを行うことで、口腔の筋肉がスムーズに動くようになり、食べ物の取り込み、咀嚼に効果があります。もちろん、歯の治療をして噛める状態にあることが前提となります。具体的には、①口輪筋(こうりんきん)②咬筋(こうきん)③側頭筋(そくとうきん)④頬筋(きょうきん)をよくほぐします。

唾液腺マッサージで、いっそう美味しく!!

唾液には食べ物とかして味覚を一層高める効果があります。甘味、酸味、塩味、苦味という4つの基礎味覚は、舌の味蕾(みらい)と言う場所に食べ物が接することで脳が認識する感覚です。味の刺激が脳へ伝わると、食べ物の味物質を溶かしてもっと味を感じれるように唾液を出したりもっと噛むように指令を出します。ちなみに乾いた舌に食塩をのせても塩味を感じることはできません。高齢者は加齢や薬の副作用等で、唾液が出にくくなっているため、噛みにくい、飲み込みにくいと言う訴えも少なくありません。美味しく食べるためには唾液腺マッサージが効果的です。



▲このページの先頭へ