(平成30年3月号)

前号に引き続き『歯周病②』をお届けしたいと思います。 歯周病は歯周病菌によって歯を支える歯周組織が破壊される病気で、 痛みもなく気付かないうちに進行していきます。むし歯を抑えて歯周病が歯を失う原因のワースト1位です。 最近では歯周病菌やその毒素が歯周の血管から入り込み、全身疾患にも関与していることが明らかとなっていて、 心筋梗塞、脳梗塞、肺炎の原因の一つになっているとも考えられています。脳梗塞の場合、 歯周病の人はそうでない人の2.8倍も脳梗塞になりやすいと言われています。また歯周病による炎症物質(サイトカイン)は、 早産による低体重児出産や糖尿病を誘発するという研究報告もあります。歯周病に対する一層の理解が必要かも知れません。

歯周病の主な症状と重症度

歯周病は自覚症状に乏しい疾患ですが、よく観察することで、軽度の段階から症状を確認することができます。下記が歯周病のチェックポイントです。

◎歯ぐきが腫れる
◎歯みがきの時、歯ぐきから出血する
◎起床時、口の中がネバネバする
◎口臭がある
◎歯が長くなった(歯ぐきが後退している)
◎歯がグラグラする
◎歯ぐきを押すと、うみがでる
◎歯が浮いた感じでムズムズすることがある

歯周病は歯ぐきの赤みや腫れからはじまります。まず①軽度の段階では、歯周病菌をはじめとした細菌の塊である歯垢や歯石が付着します。 そして歯周ポケットの中で毒素や悪臭物質を産出しながら歯ぐきの炎症や歯槽骨(歯の根っこを支える顎の骨)の破壊等、組織を悪化させていきます 。②中等度の歯周病では、歯ぐきや歯槽骨の破壊がさらに進み、③重度になると歯槽骨が半分以上破壊され、 歯はぐらぐらしてきて最終的に歯は抜け落ちてしまいます。

歯周病の主な検査方法

まずは歯垢の付着状況を確認します。次にプローブという目盛りの付いた針状の測定器具を使って歯周ポケットの深さを計測します。 健康な歯ぐきの歯周ポケットは深さ1〜2㎜、軽度の歯周病では3㎜以下、中等度では4〜6㎜、重度の場合は7㎜以上になります。 この歯周ポケット検査で出血する部分は、炎症が続いていて、今後さらに病状が進行する確率が高いと判断できます。 またピンセット状の器具で歯をつまんで動かし、動揺度も確認します。 ポケットの深さ、出血、炎症、動揺の状態によっては、骨の状態を調べるためにレントゲン検査を実施します。

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