(平成30年12月号)

加齢に伴い口腔機能がわずかずつ衰えるオーラルフレイル。この状態を放置すると”口腔機能低下症”へと進行します。 咀嚼・嚥下・唾液分泌・発音等の口腔の機能が少しずつ低下する症状のことで、さらに悪化すれば口腔機能障害となり、 もう元の健康な状態には戻りません。日本老年歯科医学会では、中間に位置する段階の口腔機能低下症に着目し症状や 診断方法について啓蒙活動を進めてきました。そして今年4月、診療報酬改定において新病名として「口腔機能低下症」 が収載され、保険で検査や治療が受けられるようになりました。口腔機能低下症を早期に発見・対策することで生涯に 渡り食事や会話を楽しむことができます。そこで今月は、『口腔機能低下症』についてご紹介します。

口腔機能障害や全身への悪影響も

咀嚼・嚥下・唾液分泌・発音等の機能が低下すると、
①栄養の偏りやエネルギー不足がはじまり、
②筋力や免疫力の低下、
③身体の虚弱や認知機能の低下を招き、
想像以上に全身の健康状態に大変な悪影響を及ぼします。さらに口腔機能障害に進展すると、 もう元に戻すことはできないことから、口腔機能低下症は本格的な機能障害の入り口であり、早期対応がとても重要になります。 東京歯科大の調査によると、健診を受けた人のうち、40歳代で4割、50歳代で5割、60歳代で6割、70歳代では8割もの方が 口腔機能低下症だったという結果が報告されています。

口腔機能低下症のチェックポイント

口腔機能低下症の診断基準は、
①咬合力低下
②咀嚼機能低下
③嚥下機能低下
④口腔乾燥
⑤口腔不潔
⑥舌口唇運動機能低下
⑦低舌圧
の中で3つが該当することとしています。 口腔機能を維持することは、誤嚥性肺炎の減少、生存期間の延伸、入院日数の減少、医療費削減につながることが多くの 研究で明らかになっています。口腔の衰えは気付きにくいものですが、上記のような自己チェック等を参考にして思い当 たることがあれば歯科医院を受診しましょう。

改善のためには…

日常生活では頰や舌、唇のトレーニング等、口腔機能向上のためのトレーニングを行うことで、改善が期待できます。歯科医院では、 患者様ごとの口腔機能に合った改善メニューの指導を受けることができます。健康で楽しい食生活のために、 気になる症状があればまずは検査を受けて、早めの発見と改善に努めましょう。

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