(2019年3月号)

前号では、ミュータンス菌等が砂糖を基にむし歯を作るメカニズムをご紹介しました。砂糖を摂取しなければむし歯はできにくくなるのですが、 砂糖は大変質の良い甘みを持ち、熱しても味が変わらない上、コストが安くとても安全な食品です。エネルギー源としても重要で、 体内に効率的に取り込まれ、特に成長期の小児には必要不可欠です。一方で、むし歯以外にも、過剰摂取による肥満の問題もあります。 そこで上手に併用したいのが代用甘味料です。元々、代用甘味料は砂糖不足となった戦時中に砂糖の代わりとして使われてましたが、 近年では”低カロリー””歯になりにくい””腸内環境の改善”等、機能性を目的に多様化しています。 そこで今月は、『代用甘味料』についてご紹介します。

甘味料の分類・甘味度(対スクロース比)

原料に糖質(トウモロコシ等のでんぷん)を使用しているか否かで、「糖質系」と「非糖質系」に分類できます。 代表的な甘味料名とスクロース(砂糖)を1とした時の甘味度(※)が下記の表になります。最も小さな糖が単糖類でグルコース(ぶどう糖)やフルクトース(果糖)です。

この単糖が複数結合すると二糖類、多糖類という種類の糖になります。また糖類に水素を添加したものが糖アルコールで、熱に強く安定していて、消化吸収されにくく、 微生物の栄養源になりにくいので多くの食品に幅広く使用されています。ちなみにお酒のアルコールとは異なります。人工甘味料は甘味度が数百倍以上あるものが多く、 使用量が少なくすむためカロリーを抑えられるというメリットがあります。

代用甘味料を選ぶポイント

むし歯予防の観点からは、口腔内細菌によって利用されにくいもの、つまり ①ミュータンス菌が粘着性の強いグルカンを産生できない ②歯が溶け出すレベルの強い酸(pH5.4以下)を口腔内の細菌が産生できない性質を持つ代用甘味料を選ぶことがポイントです。 糖アルコールや非糖質系の甘味料にはむし歯になりにくいものが多く、具体的にはキシリトール、マルチトール、アスパルテーム等がよく使われています。 買い物の際には、「トクホマーク(①)」や「歯に信頼マーク(②)」を目印にするとわかりやすいと思います。

ちなみに、よくのど飴等のパッケージに「シュガーレス」や「ノンシュガー」と表示されていますが、これは食品100g(または飲料100mL)に対し、 単糖類または二糖類が0.5g未満であることを意味していて、むし歯にはなりにくいものの、完全に糖類が入っていないわけではありませんので注意が必要です。 次号では予防効果が高いと言われるキシリトールについて解説します。

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